擁壁(ようへき)とは、高低差のある地面に設けられる壁のことで、斜面の土砂が崩れ落ちるのを防ぐために造られる構造物のことです。
安息角(土が崩れないで安定するときの斜面の角度)を超えて家を建てる時には、安息角の外側(がけ附近)の家が、がけ崩れで家ごと流されてしまわないよう、擁壁を設ける必要があります。
ブロック塀とは、ブロック状の建材を主材として造られる塀のことで、プライバシーの確保や防犯・防火などに役立つ構造物です。擁壁の上にもブロック塀が設置されることがあります。
擁壁の上に設置されたブロック塀は、ブロック塀の経年劣化や地盤問題・自然災害で傾いてしまうことがあります。
ブロック塀が経年劣化・地盤問題・自然災害で傾いてしまった場合や施工不良がある場合は、地震発生により倒壊してしまう危険性があるため、ブロック塀付近の通行人を潜在的危険にさらしてしまっていることになります。
そのまま放置していても直るものではなく、倒壊して被害が出てしまった場合工作物責任(ブロック塀が倒れて人や物に被害を及ぼした場合、所有者が賠償責任を負うこと)」を課される可能性があるため、早めに傾き改修工事やひび割れ補修工事による対策をおすすめ致します。
擁壁ブロック塀のひび割れ・傾く原因
ブロック塀が傾く原因はいくつかありますが、多くの場合はブロック塀の骨組みである鉄筋が経年劣化で錆びてしまうことによる強度不足が原因となります。 ブロック塀の耐用年数は約15~30年といわれていますので、設置後15~30年経過している場合は、ブロック塀に傾きやひび割れがないかチェックしてみましょう。
また、今回の現場の様に擁壁の上に設置されたブロック塀の場合は、地震や地盤沈下によって擁壁が傾いてしまうことも原因となります。
その他として下記要因も考えられます。
- 設計不良
「構造計算不足」で必要な強度や安定性が確保されていない。
「排水計画の不備」で擁壁の裏側に水がたまり、土圧が増加してしまう。 - 施工不良
擁壁の基礎部分が浅い場合や適切に固められていない。
またはコンクリートや鉄筋が規定の品質を満たしていない。 - 地盤の問題
「地盤沈下」で擁壁の基礎が設置されている地盤が沈下する。
「地滑り」で擁壁の裏側の土砂が滑ることで引きずられる。 - 排水不良
裏込め材の排水不備により擁壁の背面に雨水や地下水がたまり土圧が増大してしまう。
排水設備が詰まり水が適切に流れない。 - 外部要因
地震による振動による揺れや液状化で擁壁が傾く。
擁壁の上部に過度の建築物や土砂が追加される。
重機や車両の振動の影響。 - 自然災害
地震による「液状化」で地盤が不安定になる。
豪雨により大量の雨水が浸透して土圧を増加させる。
凍結融解によりコンクリート内部の水分が凍結と融解を繰り返すことで劣化してしまう。
擁壁の上に設置されているブロック塀の場合、ブロック塀自体の経年劣化や施工不良での被害に加え、擁壁そのものが地盤沈下や自然災害で傾いてしまった場合にも、傾きやひび割れが発生してしまう場合があります。
このような状態になってしまったブロック塀は、隣接する住宅に倒壊してしまったり、道路に面している場合は通行人に被害が発生してしまう可能性もあるため危険です。
早急に擁壁の上に設置されているブロック塀の傾き改修工事・ひび割れ補修工事をおすすめいたします。
擁壁ブロック塀のひび割れ・傾き補修工事の施工期間
「擁壁ブロック塀のひび割れ・傾き補修工事」の施工期間は10~30日です。 傾きが発生しているブロック塀の範囲や規模によって施工期間が変動します。
擁壁ブロック塀のひび割れ・傾き補修工事の施工手順
擁壁ブロック塀のひび割れ・傾き補修工事の施工手順です。今回ご紹介する現場は擁壁の上に設置されているブロック塀が傾いてしまい、隣接する住宅側に倒れ込んでしまいそうな状態でした。
下記写真の左側がお客様宅、右側が隣接する住宅の駐車場スペースです。擁壁の上に設置されたブロック塀が斜めに傾いてしまい、隙間が出来てしまっているのが分かります。 地震等の自然災害が発生してしまうと、倒壊してしまう危険性があります。
このまま放置してしまうのは危険ですので、お客様より擁壁の上に設置されたブロック塀の改修工事をご依頼いただきました。
擁壁ブロック塀のひび割れ・傾き補修工事の基本的な流れは、「掘削 → 既存ブロック塀解体 → 鉄筋組立 → 基礎コンクリート打設 → 木枠組立 → コンクリート流し込み → 木枠解体 → 掘削した土を戻す」となります。
施工するには2~3人必要となります。既存ブロックの解体や鉄筋組立・コンクリート打設工事はは非常に困難な作業ですので、プロにお任せください。
ここから今回実際に施工した現場の写真を使用して、擁壁の上に設置されたブロック塀のひび割れ・傾き補修工事の施工手順をご紹介します。
(1)お客様敷地内から見たブロック塀です。写真の左側に傾いてしまっているブロック塀が設置されています。
(2)まずは既存のブロック塀の横を掘削していきます。ブロック塀の根入れ部分(地中に埋設されている部分)が露出するまで掘削作業をしていきます。
(3)掘削した土は、ブロック塀を新しく設置した後にもとに戻すので、ガラ袋に入れて別の場所に置いておきます。
(4)掘削が完了したら、既存ブロックの解体です。隣りの住宅にブロック塀や破片が飛散しないように、掘削した側にブロック塀を解体していきます。解体には(3)の写真にうつっているミニユンボを使用しました。
(5)解体したブロック塀をすべて撤去してから、新しくブロック塀を設置する箇所に鉄筋を組んでいきます。
(6)まずは基礎の部分にコンクリートを流し込みます。
基礎部分からコンクリート打設をするのは、今回の様に高さのある塀を作成する際に、塀と基礎に一緒にコンクリートを流し込んでしまうと、塀の部分のコンクリートが基礎の部分に流れ込んでいってしまうからです。
そのため基礎部分に先にコンクリート打設して固まってから、基礎の上に木枠を組んでブロック塀の部分にコンクリートを流し込んでいきます。
(7)基礎部分のコンクリートが固まったので、新しく擁壁のブロック塀となる部分の木枠を組んでいきます。
木枠右側に3ヶ所ほど設置してある四角い木枠は「控え壁」といいます。 ブロック壁に対して直角方向に突き出した壁で、ブロック塀の強度を増やし転倒を防ぐために設置される補助的な壁です。
1981年に建築基準法が改正され、高さが1.2mを超える場合は設置が義務付けられています。 この控え壁の木枠にもコンクリートを流し込んで、最終的に土に埋めますので、既存のブロック塀に比べ強度が増します。
(8)反対から見た木枠です。コンクリートが漏れないようしっかり固定します。
(9)木枠にコンクリートを流し込みます。
(10)後日コンクリートが固まってから、木枠を取り外し、掘削した土を元に戻して完了です。
ビフォーアフター
擁壁ブロック塀のひび割れ・傾き補修工事のビフォーアフターです。既存の擁壁の上に設置されたブロック塀を解体して、新しく擁壁の上にコンクリート塀を設置しました。ビフォーアフターをみると既存のブロック塀の傾きが解消されているのが分かります。
以上が「擁壁の上に設置されたブロック塀のひび割れ・傾き補修工事の施工期間や施工手順」となります。
今回は、ブロック塀自体の経年劣化もありましたが、地震による土圧が原因でブロック塀が傾いてしまい、隣接する住宅に倒れ込んでしまいそうな状態でした。
ブロック塀の耐用年数は30年と言われています。傾いたまま放置してしまうと倒壊して被害が発生する危険性もありますので注意が必要です。ブロック塀がひび割れていたり傾いたりしている場合は、一度メンテナンス・点検をおすすめします。
ブロック塀のひび割れ・傾き補修工事にかかる費用は、現地の状況や施工範囲で変わりますが、一度現地を確認させてもらえれば御見積りご提示可能です。
現地確認・御見積りは無料で対応しておりますので、御見積りで費用を確認してから、予算内で施工可能でメリットがあればブロック塀のひび割れ・傾き補修の施工を検討する。メリットを感じられない場合や、費用面で都合が合わない場合は検討を改める。といった流れがおすすめです。
ブロック塀のひび割れや傾きでお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
電話でのご連絡はこちら
0120-166-766
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